冒頭の書き出しはライトノベルにおいて非常に重要で、読者がその作品を読むか読まないかを決めます。
サンプルを渡して、「時間をもらう代わりに、面白い物語を見せますよ」と作者と読者が契約を交わす瞬間なんです。
今回は、ライトノベルの書き出しについて解説していきます。
・ライトノベルの書き出しで手が止まってしまっているお方
・読者を引き込む魅力的な書き出しを学びたいお方
・読者を引き込む書き出しの具体例
ライトノベルの書き出しのポイント5選
ライトノベルの書き出しにおいて重要なポイントを5つ挙げます。
5つのポイントを押さえて、読者と契約を交わして作品を読んでもらうようにしましょう!
①読者の目を引くシーンから入る
②世界観の羅列はしない
③物語の続きに期待を持たせる
④キャラクターを魅せる
⑤最初の一文には命を賭ける
①読者の目を引くシーンから入る
ライトノベル、映画、小説――創作において、最初のシーンは超重要です。
読者の目を引く書き出しにはいくつかパターンがありますので、型に嵌めつつ書いてみるといいす。
ド派手なアクションタイプ
読者の目を引くシーンとしてもっともわかりやすいのが、いきなりバトルシーンから始めるパターンですね。
ラスボスとの死闘を繰り広げていたり、ライバルとの一騎打ちとの最中だったり、ド派手なバトルで読者の目を引きます。
かっこいいバトルシーンを書くことができれば、読者との契約が成立すること間違いなしです!
死体を転がすタイプ
序盤で殺人事件が起きて、死体が出てくるのはミステリーでよく使われる方法ですね。
冒頭の事件で読者にナゾを提示するタイプです
読者は事件のナゾの全容が気になって物語を読み始めるわけですね。
悪事を働くタイプ
主人公がいきなり悪事に手を染めているタイプです。
読者視点で言えば、「主人公はどうして悪事に手を染めることになったんだろう?」や「この人は本当に悪い人なのか?」と興味を引けるんです。
エロさで興味を引くタイプ
人間の本能に訴求するタイプの書き出しですね。
人には必ず性欲があるので、そこを突いた書き出しにすると気を引けるわけですね。
爆笑を誘うタイプ
笑いを誘うタイプの書き出しですね。
正直、これはめちゃくちゃハードルが高い方法です。
読者がキャラクターや世界観を把握していないまっさらな状態から、笑いを取らなければいけません。
初めて舞台に上がるお笑い芸人が、大爆笑をかっさらっていくくらいの難易度があります。
②世界観の羅列はしない
ライトノベルの書き出しで世界観の解説をつらつらとするのはおすすめしません。
読者さんが見たいのは設定でなく、物語だからです。
まずは動きや事件から入るように心がけましょう!
③物語の続きに期待感を持たせる
冒頭部分の数十ページで、これから先の物語への期待感が与えられるとベストです。
黒幕の存在をにおわせたり、金銀財宝のお宝の在処を示唆したり、先にわくわくやナゾを残して冒頭を終えましょう。
④キャラクターを魅せる
ライトノベルに登場するキャラクターが魅力的であると、書き出しの時点で読者に示すことができれば、読者さんは必ず先へと読み進めてくれます。
キャラクター中心のライトノベルならば、その魅力を全面に押し出してみると良いでしょう!
⑤最初の一文には命を賭ける
冒頭の特に一文目は気合を入れて書くといいです。
もしガツンとパンチの聞いた一文から書き出せれば、その先を読んでみたいと思う読者さんが増えます。
小説やライトノベル初めの一文については、面白いサイトがあるので、ご紹介させていただきます。
上の画像のように、本の書き出しの一文をひたすら集めたサイトで、なかなかインパクトがあります。
ライトノベルの書き出しに関する悩み4選と解決法
ライトノベルの書き出しに関する悩み4つと、その解決法をご紹介します。
冒頭部分で筆が止まっている方は、参考にしてみてください。
①読者の目を引くシーンが思いつかない
②キャラクターがどのように動くのかわからない
③冒頭が正しく書けていないと不安に思ってしまう
④冒頭から次のシーンにどう繋がるのかがはっきりしていない
上記のパターンを1つ1つ解説していきます。
①読者の目を引くシーンが思いつかない
ライトノベルの書き出しでよく起こる悩みとして、「読者の目を引くシーンがそもそも思い浮かばない」というのがあります。
その解決法は2つあります。
解決策の1つ目は、マインドプロットを使って書き出しのシーンのアイデア出しを行います。
マインドプロットを使ったアイデア出しについては、以下の記事で触れてますので参考にしてくださいませ!
親見さん 小説にマインドマップは使えるのでしょうか? アイデア出しやプロット、キャラクター作り、小説を作る上でマインドマップはいろんなシーンに使えます。 マインドマップは、ビジネスシーンでもブレインストーミング[…]
2つめの解決策は、何も考えずにまずは書き出してみることです。
物語が進んでいった後に、「これは良いシーンだ!」と思う領域が出てきます。
それを冒頭部分に持ってきて、読者を引き込む書き出しにすればいいんです。
②キャラクターがどのように動くのかわからない
ライトノベルをイチから書き始めるとき、作ったキャラクターがどのような動きをするのかいまいちわかっていないケースが多いです。
本編とは別の形で小さな物語を一本作って、その中でキャラクターを動かしてみるいいです。
自分の作ったキャラクターがどんな動きをする子なのかを把握できますよ。
③冒頭が正しく書けていないと不安に思ってしまう
冒頭の書き出し部分を完成させた後、見返して「魅力的な書き出しができているんだろうか?」と手が止まる方も多いと思います。
そんなときは読者になった気持ちになりながら、以下のポイントを確認してみてください。
・世界観の羅列をしていないか?
・冒頭から続く物語に期待を与えているか?
・キャラクターが魅力的に書けているか?
・最初の一文には力がこもっているか?
必ずすべてを網羅している必要はなく、いくつかのポイントを満たしたうえで、読者が物語の先を読みたいと思えれば冒頭部分はクリアです!
④冒頭から次のシーンにどう繋がるのかがはっきりしていない
こちらも冒頭を書き終えた後のお悩みです。
「冒頭から次のシーンにどう繋げたらいいのかわからない」というパターンがあるようです。
プロットがしっかり作れていない可能性があるので、今一度プロットを練り直してみるといいでしょう。
プロットの作成については、以下の記事を参考にしてみてくださいませ。
親見さん あの子がああして、こうなって、でも、これだとオチが決まりません! プロットがビシッと書けません。 プロットの作成の沼にハマると、なかなか抜け出せませんよね。 親見さん 正しいプロットを書けて[…]
ライトノベルの名作から魅力的な書き出しを学ぼう!
魅力的な書き出しは、名作と呼ばれるライトノベルや小説から学ぶのが1番です。
名作と呼ばれる作品の冒頭には、読者を引き込む要素がたくさん含まれています。
冒頭部分をまるまる見ていくことはできませんが、名作と呼ばれる作品の書き出しを数行単位で見ていきます。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているのだろうか」の書き出しは、以下のようになっています。
数多の階層に分かれる無限の迷宮。凶悪なモンスターの坩堝。
富と名声を求め自分も命知らずの冒険者達に仲間入り。ギルドに名前を登録していざ出陣。
――中略――
ダンジョンに出会いを、訂正、ハーレムを求めるのは間違っているだろうか?
結論。
僕が間違っていた。
引用:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(第1巻)
主人公のベルくんがダンジョンにハーレムを求めてダンジョンに潜り、死に瀕して失敗を悟るシーンになっています。
ベルくんの煩悩満ちる野望も男ならば「うんうん」と頷いてしまうようなものばかりです。
ダンジョンに出会いを求めるというワードの面白さも相まって、危機的状況でありながら、くすりと笑ってしまう面白さもあります。
GOSICK-ゴシック-
「GOSICK-ゴシック-」の書き出しは以下のようになっています。
横切った。
犬だ、と子供は思った。宵闇にまぎれる。闇のように黒い犬。猟犬だ。その四肢はつややかに黒く、二つの目が、闇の中で燃える青い炎のように揺らめいていた。
――中略――
……野兎だ、と気づいた。
顔を上げた。猟犬の閉じた口蓋から、一筋の生々しい血がぼとり、と落ちた。
こいつが食い殺したんだ……!
――中略――
「一人の青年が、もうすぐ、死ぬだ、だろう……!」
引用:GOSICK-ゴシック-(第1巻)
GOSICK-ゴシック-はミステリー小説です。
野兎が追われる人、猟犬が殺人鬼を暗示しています。不吉なモノゴトのはじまりを示唆するような描写の数々、老婆による死の宣告――死体が転がるわけではないのですが、これから起こる不吉な事態をありありと読む人に伝えています。
劇場の幕が上がったかのような独特な雰囲気も、GOSICK-ゴシック-の書き出しの特徴でしょう。
GOSICK-ゴシック-については別途作品紹介をしていますので、よければそちらをご覧くださいませ~!
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神様のメモ帳
「神様のメモ帳」の書き出しは以下のようになっています。
――中略――
「ニートというのはね。なにかが『できない』人間や、なにかを『しようとしない』人間のことじゃないんだ」と、探偵は僕に教えてくれた。「ちがうのはただ、ルールなんだよ。みんなが双六をやってる盤の上に、ぼくらだけチェスの駒を並べてるようなものさ」
引用:神様のメモ帳(第1巻)
神様のメモ帳はミステリーでありGOSICK-ゴシック-と同じです。
神様のメモ帳は冒頭で、ニートをしている強烈なキャラクター達がいるのを示唆しています。
加えて、探偵がいきなりニートについて語りだします。
セリフも面白く、探偵が強力な個性の持ち主だと、誰にでもわかっちゃいますよね。
ミステリー1つとっても、ライトノベルの書き出し方法はいくつもあるのがわかりますね。
君の膵臓をたべたい
「君の膵臓をたべたい」の書き出しは以下のようになっています。
彼女の命の価値の証として、たくさんの人の涙に包まれているのであろうお葬式にも、昨日の夜の通夜にも僕は行かなかった。ずっと、家にいた。
幸い、僕に出席を強いるような唯一のクラスメイトはもうこの世からいなくなっていたし、教師やあちらの親御さんに僕を呼ぶ権利も義務もあるはずなく、自分自身の選択を尊重できた。
引用:君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたいは青春小説なのですが、主人公にとって重要であろう人がいなくなるシーンからはじまります。
上記の書き出しで、「山内桜良と僕が一体どんな関係だったのか?」「山内桜良はどうして死んでしまったのか?」と読者は様々な興味を惹きつけられます。
まとめ
ライトノベルの書き出しについてまとめました。
読者に物語を読んでもらうために、魅力的な冒頭を書いちゃいましょう!
みなさまの創作活動がより良いモノになることを願っています。
本サイトでは他にも創作に役立つ情報を扱っていますので、もしよろしければ見て行ってくださいませ!
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